*ドリーム小説31話目をお読みいただく前に*

 まいどHOLYのドリーム小説をごひいきくださいまして、ありがとうございます。

 えー、前回にひき続き、今回の31話なのですが。


 引き続きノリがおかしいです。

 引き続き異様にテンションが高いです。

 引き続きキャラクターがかなりの勢いでおばかです。

 いうなればAHoooooo! な内容です。

 でもちょっとだけ後半はおばかなラブもあります。


 それでもいいと言うかたのみ、このままお読みください。

 いや、という方は次の話に飛ぶか、話がアップされてなければ他の素敵サイトさまをおまわりくださいw


 それではどうぞ。





 いよいよ。私自身をかけた賞品受賞者決定戦の幕開けだ。


 31.修学旅行3日目:激闘枕投げ 後編


「赤コーナー! 学園プリンスの実力はいかほど!? 隠れファンの多い海野をがっちりパートナーとして捕まえた佐伯は、の唇まで奪ってしまうのかっ!?」
「おいこら西本! ……さん! なんなんだそのアナウンスはっ!」
「佐伯瑛、あーんど、デイジー・海野あかりペアァァァ!!」
「うぉぉぉ、佐伯ぃぃ!! 海野ぉぉぉ!!」
「2−B主催なんだから、2−Bチームで勝ってくれぇぇぇ!!」

「青コーナー! 教員人気ナンバーワンは、学園アイドルまでも虜にするのか!? 化学教師の計算式は、どこまで通用するのか!」
「いやぁ、先生、わくわくしてきました!」
「若王子貴文、あーんど、学園アイドル・ペアァァァ!!」
「若ちゃーん!! 絶対勝ってくれぇぇ!!」
「佐伯にっ、佐伯にさんまでも奪わせたくねぇぇぇ!!」

 異様な熱気と興奮と。
 怒声歓声が飛び交う部屋の真ん中で。

 私と若王子先生。
 あかりと瑛の4人は。

 それぞれひとつずつ枕を持ち、互いの陣地に立っていた。


 えと。
 私は未だに雰囲気についていけてないんですが。


さん、準備はいいですか?」
「は、はい、先生。先生こそ、本当に大丈夫ですか?」
「えっへん。先生には先生の奥義があるから大丈夫です。

 胸をそらして言い切る先生だけど。

、手加減はしない。ぜってーツブす」

 いい子モードの仮面が外れかかってる瑛のオーラを見てると。
 ううう、負けそう……。

「両者、準備はええな!? ほないくで!」

「いくぞあかり! 手ぇ抜くなよ!?」
「うんっ、瑛くん!」

「行きますよ、さん!」
「はいっ、先生!」

「それでは最終戦! レディー……ゴーっ!!」

 うぉぉぉぉぉぉ!!

 ハリーの号令とともに、地響きのような歓声があがる。

「くらえ! お前からぶっつぶす!」
「うわわわわ!?」

 本気モードの瑛が、枕を私めがけて投げてきた!
 ……けど、その枕を若王子先生の投げた枕が迎撃する!

「甘い! 僕の弾道計算式に、狂いはないですよ!」

 おぉっ! 先生がかっこいい!!

「ちぃっ! じゃあ、先生から沈めてやる!」
「僕の鉄壁の防御を崩せるものなら、きてみなさい!」

 目にも留まらぬスピードで枕を投げ合う二人。
 
「さすがだ先生……! 佐伯の投げた枕を、境界線ぎりぎりですべて打ち落とすなんて……!」

 なんか感動してる志波くんもいるし。
 二人の戦いは、もうすでに神業の域だ。

 ……って。

「こら、あかりっ!」
「うきゃあ!?」

 ばすん!!

 私の投げた枕が、あかりの顔面にクリティカルヒット!

「境界線の隅っこで、こそこそ枕をこっちに移動しない!」
「うう、作戦ばれちゃった……」

 私が先生と瑛の攻防に見とれている間。
 姑息にもあかりは、部屋の隅っこで枕をこちら側にこそこそ移動させていたのだ!
 ゆ、油断の隙もないっ……。

「勝負は正々堂々と……」
「……おい、……」

 再び枕を構えてあかりに投げつけようとしていた私の背後に。

 殺気!?

 振り向いた先には、両目をキュピーンと光らせている、瑛。

「あ、あれ? 瑛、なに?」
「お前、今、あかりの顔面に、ぶつけたな?」
「え、だ、だってこれ、枕投げ……」
「人の女を狙うとは、いい度胸してんじゃねーか……」
「て、瑛、今、ここみんないる、ってか、後ろ! 後ろ! なんか怪獣出てる!!」

 両手に枕を引っさげて、どす黒いオーラを放出している瑛。
 そのオーラが、なんか、怪獣の形になりつつあるんですけど!?

ちゃん、瑛くんからマクラノギヌスがが出るよ!」
「なにそれ!?」
「屈折した心が生み出した闇の眷属だよ!」
「だよ、って!」

 藤堂さんにしろ、密さんにしろ、瑛にしろ!
 いくらなんでも、人間を凌駕してるでしょ!?

さんっ!」

 ぐいっ、と。
 先生に腕を掴まれ、引き寄せられて。
 私は若王子先生の腕の中へ。

 う、わ、あ!?

「今まで黙っていたけど、先生、実は、闇の眷属を倒すために地球にやってきた……」
「ちょ、待ってください、先生。何ゴッコですか」
「はばたきレンジャーゴッコです。先生の近所の子が、よくそうやって遊んでます」

 なんでこの状況に、そんな素早く馴染めるんですか。

 などと突っ込んでる間に、瑛から湧き出る黒いオーラがどんどん膨れ上がって。
 その勢いは部屋を覆いつくさんばかり!

「いけない、怒りで我を忘れてる!」
「先生それパクリですよね!? 有名なアニメの、パクリですよね!?」
「若王子先生っ、瑛くんを助けて!」
「ってあかりは敵だっつーの!」

 ああもう、こんなに人がいるのに、なんで突っ込むのが私しかいないわけ!?

さん、見ててくださいっ。若王子奥義、スーパー化学忍法!」

 どこからともなく取り出した白衣を翻し、高らかに先生が宣言すると。

 うぉぉぉぉぉぉぉ!!

 枕投げ会場のボルテージは最高潮に達した。

 はい。もう好きにしてください……。



「瑛くん……」
「ん……あかり……?」
「よかった、気がついたんだね……?」
「オレは……取り返しのつかないことをっ……!」
「佐伯くん、君は悪い夢を見ていたんです。もう君は、闇に囚われたりはしない」
「先生っ、オレは、オレはっ!」

 ぐすん……ぐすん……
 よかったね、あかり……
 よかったな、佐伯……
 これで平和が戻ったよ……

 枕投げ会場は、観客を巻き込んで涙涙の大団円。
 なんだこの寸劇。

「ありがとう、みなさん、ありがとう!」

 若王子先生が手を振って歓声に答える。

「ってことは、勝者若ちゃんで決定やな!」
「そうだな! Winner、若王子!!」

 はいはい。
 拍手が起こるだろうと私は座り込んだまま拍手の用意をしていたら。

「何座っとんねん、。勝者に祝福のキスせんかいな」
「は!?」
「や、照れますねぇ」

 はるひとハリーに両腕を掴まれて、立たされる私。
 そのまま背中を押されて、会場中央の若王子先生の前へ。

「ちょ、ちょっと、まさか、本当にするの!?」
「当たり前やん! 今までなんのために試合しとったんよ!」
ちゃんのーちょっといいキス、見てみたいー、ハイ!」

 キース、キース、キース!

 無責任に盛り上がる一同。
 キスコールをしてないのはあきれ返ってる藤堂さんと、憮然とした表情を浮かべてる志波くんと、いまだ寝こけてる氷上くんと小野田ちゃんだけだ。

さん、はいどうぞ」

 なんて。
 先生までかがみこんで右頬を差し出してくる。



 ぷちん



 私の中で。
 何かがキレた。

「…………」
さん?」

 小さくつぶやく私に気づき、先生が顔をのぞきこんでくる。

 きっ! と私は顔を上げて、枕をわしづかみにして積みあがった布団の上に駆け上り、高らかに叫んだ!!

「勤労学生、奥義っっっ!!!」
「「「「「「えええええええ!?」」」」」」

 私の言葉に、その場の全員が凍りつく。

「なっ、、奥義なんて誰から!?」
「学問の女神、有沢様直伝のっ!」

 ゆらりと。
 私の背中からもオーラが立ち上るのがわかる。

「リリカル・ハート・アターック!!」
「うわあああああ!!??」

 一瞬で、会場内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化す!!

「まだまだぁ! ニィやん直伝、クラッシュバイク!!」
「ぎゃーーーーーっ!!!」
「教頭上等! 葉月さん直伝、モデルウォーク!!」
「きゃあああああ!!」
「とどめのアクロバティック・ポンポンラーッシュ!!」
「ひゃあーーーーっ!!??」

 勤労学生の交友関係を、なめるなよ!

 枕投げ会場はもう、右へ左への大騒ぎ。

 でも。

 あはは、藤堂さんや志波くんの焦った顔なんて初めて見た。
 クリスくんは笑いながら避けて、楽しんでるな、あれは。
 あっ、氷上くんと小野田ちゃんの上に枕が大量にっ。

 若王子先生も……満面の笑顔でガードしてる。

 はぁ、ちょっとすっきりした。

 でも。
 さすがに少し騒ぎすぎたみたい。



 ダンダンダン!!!



 乱暴にドアを叩く音。
 全員が一瞬で静まり返り、ドアに注目した。

『何をしとるんだ!! 一体、何時だと思ってる!!』

 きょ……

 教頭先生だ!!!

『おや? 先生、どうなさったんですか?』
『どうなさったじゃない! ここは若王子くんのクラスだな!? 下の階から苦情が来とる!』
『本当にこの部屋ですか? 今は静かなようですが……』

 ちょい悪親父、グッジョブ!!

 全員が古文の先生の助け舟に親指を突き出した。

「女子と他のクラスのヤツ、全員隠れろ! 入ってくるぞ!」

 瑛の号令で、私たちは一斉に隠れだした!

 ハリーとはるひは素早く布団にもぐり、藤堂さんはクローゼットの中へ。
 瑛はあかりをすぐ近くの布団に押し込んで、う、わ!

 誰かに、腕、ひっぱられた!?

さん、早く!」

 先生!

 若王子先生が、押入れの中から私の右腕を掴んで呼んでいた。
 いたずらっ子の笑顔で、手招きしている。

 って、そんなせまいトコ、先生と!?

 躊躇してたら、強引にひっぱられた。

「わぁっ!」
「はい、いらっしゃい」

 先生の腕の中に抱きとめられて、そのままずりずりと押入れの奥へ。
 う、わ、顔、近いっ……。

「……か!?」

 振り返れば。
 隠れ場所を探してるのか、志波くんがかがんでこちらを覗いてた。

「し、しばく」
「志波くん、早く! 教頭先生が入ってきます!」
「え、で、でも」
「大丈夫。3人ギリギリですが、詰めれば入ります!」

 って、志波くんも招きいれてしまう先生!

、悪ィ、ちょっとだけだから」
「う、う、うん」

 ひゃあああああ!

 め、目の前に若王子先生の顔。先生の腕はしっかり私の腰に回されて、私は先生の上に覆いかぶさるような形で。
 その私の上に覆いかぶさってるのが、志波くん。耳元で、志波くんの呼吸がしっかりはっきり聞こえる。
 3人とも、すごい密着状態。

 だああ、心臓、破裂しちゃう……!!

 でも。
 そんな中でも先生はくすくすとずっと笑い続けていた。

「(せ、せんせぇ、笑ってたらバレちゃいますよ……)」
「(やや、すいません。あまりにどきどきしてわくわくして、楽しくて)」

 くすくすと笑ったまま。
 先生はコツンと私と額を付き合わせた。

 ひ、あ、あ。

『2−B! 開けなさい!』
「は、はい。教頭先生、なんですか?」

 ふすま越しに聞こえる、優等生モードの瑛の声。
 ああ、みんな見つかりませんように!

「……む」
「どうしたんですか? 教頭先生」
「い、いや……きちんと寝ていたのかね?」
「あ……実は、寝れないヤツで集まって、少し話しをしてました。そんな、うるさくしてるつもりはなかったんですけど、うるさかったですか?」
「話だけかね」
「はい。スイマセン」

 若王子先生の体が揺れる。
 笑いをこらえるのが大変みたい。

 って、腕に力を入れて耐えないでくださいっ……

「う、うむ。修学旅行はまだ2日あるのだから、早めに寝るように」
「わかりました。おやすみなさい」

 うまくいった!

 と。

 私はびくん! と体を震わせてしまった。

「(さん?)」
「(ひゃ……し、志波くん、耳に、息、かけないで……!)」
「(え!? あ、わ、悪ィ……!!)」

 ほっとした志波くんがついたため息が、私の耳にもろかかって。
 は、恥ずかしいぃぃぃ!!

「ん? 今なにか……」
「何か聞こえましたか!? さっきから、ぶつぶつ聞き取れない寝言言ってるヤツがいるんですよ!」

 瑛、ナイスフォロー!

 そしてその後2,3言、言葉を交わして。
 パタンと、ドアの閉まる音。

「……みんな、いいぞ!」
「っだー、さすが佐伯! うまいことごまかしてくれるなー!」

 はぁぁ、と部屋中からもれる安堵のため息。

「あははは……」

 先生はついに堪えきれなくなって、声を出して笑い出した。

「せ、せんせぇ」
「ふふふ、楽しかった。うまく行きましたね?」

 くすくすと笑い続ける先生。
 おかしくておかしくてしょうがないのか、先生は私をぎゅうぎゅう抱きしめながら笑い続けて。

 って、せんせ。

 だ、抱きしめてるって、自覚、ない?

 でも。
 志波くんがゆっくり体を離したとたん。

 がばっと。
 先生に抱きつかれて。
 私はそのまま先生の腕の中。

「あはは。さん、すごく楽しいです」

 〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!


「おっ! 針谷が西本押し倒してるぞー!」
「なっ!? ち、違ェよ! コイツ、トロトロしてっから、オレが隠してやっただけだ!」
「せ、せや! アンタ、変な想像すなや!」

「はー、僕、めっちゃどきどきしたわー」
「クリス、カーテンに隠れてたのか!? よく見つからなかったな……」
「そりゃそうや〜。僕が見つかったら、密ちゃんも怒られてまうもん♪」
「うふふ、ありがとう、クリスくん」
「あああ!? クリスてめェっ! 枕投げに飽き足らず、水島さんとひとつカーテンにくるまってやがったのかっ!?」
「袋だっ! 袋にしろっ!」
「ひゃあ! 暴力反対や〜!」

「……どうして僕の上にこんなに枕と布団が乗っているんだ!? くっ、身動きがとれないっ! ……はっ、小野田くん!!」
「〜〜〜〜〜〜〜」
「み、みんな、力を貸してくれ! 小野田くんが窒息してしまう!」
「うわ、ちょっと布団かけすぎたか??」

「ったく、これから部屋戻る身にもなれって言うんだ……」
「あ、藤堂さん。お疲れ様!」
「先生のくせに若王子も隠れたのかい。……そういや、は?」
「あれ、志波くんもいないね」



「……先生」
「はいはいっ、志波くん。なんでしょう?」
「スッゲェ出づらいんですが」
「や、先生もそう思ってました。でも、そろそろ出ないと、さんが限界みたいです」
「……?」

 ガラっ

「うわ、志波?? そんな図体で、そんなセマイとこ隠れてたのかよ!」
「ああ。……海野、手ぇ貸してくれ」
「え、私? いいよ、どうしたの?」
をひっぱりだす」
ちゃん!?」

 う、うん。
 朦朧とする意識の中で、足をつかまれる。
 そのままひっぱりだされる、私。

「きゃあっ、ちゃん!? 大丈夫!?」
「おいおいおいっ、志波! お前、さんに何したんだよ!?」
「なっ!? オレは何もしてないっ! が、急にこうなったんだっ!」

 あかりに引っ張り出された私は。
 ありとあらゆる意味の熱で、すっかりのぼせきっていた。
 そのままあかりに膝枕してもらって、密さんにうちわで扇いでもらう。
 
「やー、おもしろかったですね、みなさん!」
「若ちゃん!?」

 志波くんと私が出てきた押入れから、さらに満面の笑顔の若王子先生が出てきて。
 みんなの視線が、先生と志波くんに集中した。

「な、なんだよ」
「や、やや、みなさん? どうしました?」

「志波……」
「若ちゃん……」

「不純異性交遊発覚! 氷上、逮捕しろ!」
「こンの淫行教師! に何したんやっ!?」
「うぉぉぉ、せまい暗がりでさんと密着って状況だけでもオイシイのにっ! 許せねぇ!!」
「みんなっ、志波と若ちゃんを締め上げろ!!」
「なっ!? ご、誤解だ、ちょっと待て、お前らっ!!」
「お、落ち着いて、みなさん! そういうんじゃ、ないんです!」

 焦る先生と志波くんに、怒り心頭の男子全員が飛び掛る!

 その時だった!

 バァン! と乱暴に開け放たれるドア!

「くぉらぁっ!! やっっっぱりこの部屋かっっ!!!」
「げ、きょ、教頭先生!?」
「わぁかぁおおじせぇぇんせぇぇぇっ!!! 指導監督する教師がっ、生徒と一緒になって騒ぐとは何事かっっ!!」
「や、あの、教頭先生」

「全員廊下に正座、2時間!!!」
「「「「「「ひぃえええええええ!!!」」」」」」



 かくして。
 はね学創立以来初となる。
 廊下に正座20人&担任教師という。
 大規模な罰が執行された。

「…………」
「せんせぇ……まだ笑ってるんですか?」

 私の隣で正座してる若王子先生は、未だに肩を震わせていた。
 こそっと小声でつっこむと、先生はちらりとこちらを見て。

「だって、楽しかったんです」
「まったくもう、大人気ない」
「大人気ないですか?」
「そうですよ! 先生なのに、生徒と一緒になって」
「ごめんなさい」

 先生はふっと困ったように笑って。

「時間が巻き戻ったように感じたんです。先生にも、僕にも、こんな時間が過ごせたのかと思うと、寂しくて、でも、これからでも遅くないんじゃないかって」

「錯覚してしまうくらい」
「……先生?」

 何が言いたいんだろう。
 寂しそうな先生の顔。

 いやだ、そんな顔。

さん」

 思わず先生のジャージの袖を掴んでしまった私を、先生は驚いたように見た。

「ご、ごめん。大丈夫、僕はどこにも」
「せ、せんせぇ?」

 急に焦りだして私の手を掴んだ先生。

「行かないから」
「……あ」

 そっか。
 私のPTSDを心配したんだ。

 あの、でも、先生。
 場所、考えて。

「あんなぁ若ちゃん?」

 はるひの呆れ返った声。
 以下、ずらりとこちらをジト目で見てる志波くんや瑛を始めとした生徒一同。

「教頭センセにばれたんは、若ちゃんと志波のせいやって、自覚しとんの?」
「おい、だからそれは誤解だと」
「反省が足らん! の隣、志波と若ちゃんから、はい、竜子姉とあかりにチェンジ!」
「ややっ、さぁん」

 な、情けない声出さないでくださいよ、先生……。

 男子にずるずると先生は引きずられて、入れ替わりにやってくるあかり。
 私とあかりは顔を合わせた途端、噴出してしまった。

「……楽しかったね、あかり」
「うん、楽しかったね!」
「また来年も、が出来ないのが残念だよね」
「そうだね。このメンバーでの修学旅行は、1度切りだもんね……」

 うん。

 でも。

 たった一度がこんなに心に刻まれたことって初めて。


 残り二日。

 めいっぱい思い出刻むぞっ!

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